おはようございます。前回は生徒さん自身の自己評価に対する振り返りの例を提示しました。つい陥りがちな現象として「悪い点・足りない点の追究による委縮の構図」をご紹介しました。そしてその構図にならないためにまずは「良い点を挙げさせ・褒め・その要因の追究」をする例をご紹介しました。質問形式もほぼ誘導ともとれるレベルの「クローズドクエスチョン」もあれば完全な「オープンクエスチョン」で我慢するシーンも混ぜてあります。この辺りを効果的に使って生徒さんにどんどん考えさせ話をさせましょう!挙げた例は一つでしたが、実際は「他には?」、「まだあるでしょう?」と辛抱強く聞き、少なくても3~4つの良かった点・成長した点を挙げさせてその成功要因を掘り下げましょう。これにより「自己評価点数をつける→先生に自分が気付いていない悪い点を更に指摘される(怒られる)かもしれない→(それを避けるため)悪い点をもっと見つけて→自己評価の点数を低く修正しておく」こういった生徒さんの自己防衛本能に基づく意味のない思考から脱却することが出来ます。ここから脱却すると生徒さんは自らの実績に対して「良かった・悪かった」といった漠然とした評価から「何が良くて、何が改善点か?」といった第三者的な「客観的な評価」に成長します。ここまでいけば一つのゴールに到達したと言えます。

 それでは、前回の流れを受けて「足りない点・改善点の原因の追究」の例をご紹介します。繰り返しになりますが、上記の成長点の評価が上手くいけば次はそんなに神経を使わなくともうまく運べると思います。大事なことは「上手くいかなかった原因を聞かれる→(怒られる!)委縮」という構図にならずに自身の事ではあるのですがあたかも他人の原因を聞かれているかの如く「こうしておけばもっと結果が違っていたと思います」といった客観的な原因分析を出来るような雰囲気にもっていく事です。

 「それでは成長したと思う点は出尽くした?」→「はい」→「こうして一つ一つ振り返ってみると半年間の成長が実感できるよね?」→「そうですね」→「それでは今度は自分で満足できなかった点について教えて?技術的にこの点は思ったより上手にならなかったというものはあった?」→「ありました。〇〇に関しては全然ダメでした」→「全然ダメ!?…って事もないと思うんだけど、そうか…。例えば◆◆さん自身にとって〇〇に関して満足できるレベルが100点だとすると自己採点は何点くらい?」→「30点くらいです」→「30点か。そうか。◆◆さんにとって少なくてもこの〇〇に関しては少し残念な半年だったんだね」→「そうですね」→「その辺りはどう?この原因は自分なりにどこにあると思う?」→「..,(考えた後)□□の方に意識が行ってしまって、練習の大半が□□の練習になってしまったことです」→「なるほど。でもその分□□の方は成果が出たわけだから、要は練習のバランスということかな?」→「そうだと思います」→「OK。では練習時間は限られているわけだから工夫は必要だったのかもね?どう工夫していれば違った結果になったと思う?」→「…(考え中。頑張って本人の案や意見が出るまで待ちましょう)□□の練習時間を減らして〇〇に時間をもっと使えば良かったと思いました。」→「なるほど。確かに時間のバランスを考えれば違った結果にはなっていたかもしれないね。他にはどう?」→「…(考えた後)〇〇が得意な先輩にアドバイスをもらえば良かったと思います」→「それは素晴らしい案だね。練習時間は限られているわけだから、そういった発想が効率化につながってくるよね」

 いかがでしょうか?【出来た・出来なかった→善・悪】ではなく、出来た事にも出来なかった事にも必ず原因があります。その原因について冷静に分析をすることがこのやり取りのゴールでした。このやり取りだけでも答えを我慢して待つ指導者の方も頑張って答えを探す生徒さんも相当お疲れになると思います(笑)しかしここが第一歩になります。回路が動き出せば慣れてきますのでまずは【自分の頭で考えさせる】、そして質問者は【答えを言わずに相手から出るのを我慢して待つ】これらを実践してレベルアップしましょう!