傾聴に引き続き「Yes-But法」をご紹介します。相手の発言を受けて自らの意見を述べるわけですが、その切り返しのテンポの重要性について述べました。そして必ずその相手の意見の「肯定」から入ることも述べました。もっともカウンセリングにおける「傾聴」のシーンでは相手の意見を否定する、または違う意見を自ら述べるという事はあまりないと思いますが、一般的な会話の中では相手の発言を受けて自分の思うことを伝えるシーンがあると思います。そんな際の何気ない発言の癖がコミュニケーションの妨げになっているケースがあります。

私の仲の良い友人である女性の話ですが、その方はオープンな性格で友達も多く私も大好きな方です。ただ最近は慣れましたがどうしても会話の癖が気になっていました(当然ご本人は他意や悪気などなく単なる口癖で言っています)。それは会話が盛り上がってくると相手の話の最後を遮り「違う!私の場合は〇〇〇…」と自分の話を興奮して話し始めるのです。私からすると自らの話を遮られたことに加え「違う」と否定されています。もっとも本人的には「違う」と言ったから会話内容を否定するというわけでもなく単なる相槌の口癖なのです。しかし、相手に悪意がないことが判っている仲の良い関係ですので聞き流せますが、関係性が薄い、或いは上下関係などの場合にはそのことが心を開く事への妨げになります。この口癖、注意して聞くと意外に多くの方にみられます。試しに生徒さん同士の会話を聞いてあげて下さい。結構使ってますよ(笑)

「自分はそのような口癖はない!」とおっしゃる方も多いかと思いますが、ではこういった癖はいかがでしょうか?それは相手の話を受けて自分が話し始めるときに「いや」と挟んで会話を始めるという癖です。相手の話が終わった後「いや、このケースは〇〇〇…」といったようなパターンです。この「いや」も本人的に意味は無いのでしょうがやはり「否定」になります。よくスピーチの場合等話始めに「えー」と挟んでスタートする方多いと思いますがこの癖と同じような感じで相手から自分の会話のつなぎに「いや」と使っています。この「いや」の癖は私が知っている男性セールスマンの半数以上の方が持っていると感じています。普段は出なくても会話のテンションが上がると「いや!」といって自らの話を始めます。私もたまに出ます(笑)

これも意味は無く単なる口癖なのですが、無意識的な領域でまとめると「違う」や「いや」はこうなるのではないでしょうか。「あなたの状況(意見)はそうかもしれないが、自分はこうだ(こう思う)」 いかがでしょうか?こうなると傾聴における100%受け入れる、共感するというスタンスからすると少し冷たい感じがしますよね。既に信頼関係が出来ている仲の良い関係であればこの位の口癖でその関係が壊れたりはしないでしょうが、何度も申し上げる様に関係性をこれから築いていく段階では、こういった事にも気を配るか否かでその後の関係は変わってきます。

では、どのように受けていくのが良いのか?次回ご紹介していきます。