おはようございます。昨日は外部講師をプレイヤーとしてのお手本として招くという活用の仕方をご紹介しました。プレイヤーの先生としてすでに技術指導をお願いしているという団体も多いと思いますが、【楽曲のパート譜をメトロノーム付きで吹いてもらいそれを録音する】までお願い出来ているところは少ないのではないでしょうか? 講師の先生は嫌がるかもしれませんが(笑)、これをお願いできればその楽曲のフレーズにおいて、テンポ・音程・強弱・ブレスの場所・息の使い方・発音(タンギング)・アクセントやテヌートの表現方法・フレージング等々言葉で羅列するとこんなにも説明が必要な正解が一発で理解できます。ぜひ試してみて下さい!

さて、今日はそれ以外の環境を変える方策についてご提案します。本書の中でも触れてはいるのですが一番のおすすめは強豪校との合同練習です。これであれば必要な予算は交通費位で済みます(チューバやコントラバスの運搬方法は工夫が要りますが)。合同練習が厳しければ見学でも大丈夫です。そしてこれはコンフォートゾーンを変えるという意味ではとても有益です。頻度が多ければ多いほど良いです。そして相手のパートの生徒さんと仲良くなれれば更に効果が増します。これらの条件をクリアすれば、例えば休日に一日かけてパート練習をするよりも、はるかに効果が高い練習になります。なぜでしょうか?

答えは正にコンフォートゾーンが変わるからです。恐らく初めての訪問の時は、強豪校の校門をくぐり、挨拶をするまでの間は生徒さんにとっても、とてもハードルが高い感覚があるかと思います。「自分とは身分が違う」位の感覚を無意識に持っている可能性すらあります。そして最初の練習を見学すると特に下級生のレベルの高さにもびっくりすると思います。しかし2回目になるとどうでしょう?もう初回の驚きはほぼなくなっています。強豪校の学校内の風景にも慣れ、相手のパートの生徒さんとも初対面ではありません。初回よりは打ち解ける時間が短く済むはずです。そして仲良くなりおしゃべりをするうちに「あれ?自分達と一緒の中学生(高校生)じゃん」と無意識に思うようになってくるのです。こうなってくると無意識レベルで【異質な物との同化】が加速していきます。最初はハードルが高く、身分が違うくらいに思っていた風景や人が慣れ親しんだ環境(コンフォートゾーン)に変化していくのです。こうなると面白い現象が起きてきます。実際にある例なのですが強豪校の練習時のルールや返事の仕方など、取り決めたわけでもないのにマネをし始めます。これなどは同化し始めているわかりやすい現象です。

このような現象の変化をコンフォートゾーン推移という点でまとめると下記の通りとなります。

1:自分達のコンフォートゾーンの外(上)にある異質な存在の認識     ⇒自分達より上に位置する存在を認識することにより、自分達がそれまで無意識に「当たり前だ」と思っていたことが実は当たり前でなかった事に気が付くこと。これが第一歩になります。

2:異質なものとの同化の開始 ⇒最初はその違いに衝撃を受けたとしても、回数を重ねる、相手と仲良くなる等によって徐々にその環境に慣れ、当り前という感覚に近づいていきます。

3:コンフォートゾーンの移動  ⇒強豪校の様になりたい!なれる!と思えば思うほどコンフォートゾーンは強豪校寄りに移動し、それと共に従来の環境やコンフォートゾーンが無意識レベルで「不快」に感じてきます。こうなると従来のコンフォートゾーンと決別し、新たな高いレベルでのコンフォートゾーンを構築することが出来るようになります。

いかがでしょう?ビジネスでも私はよく例えるのですが、日々の練習そのものは長くて緩い階段を一歩一歩登る行為です。練習量を増やしたり、気合いや根性などを強化するいわゆる熱量を上げるといった行為は階段を上る速度を上げる効果があります。同時に熱量が下がれば速度は落ちるという事になります。毎年1階から始まり、最終的に年によっては中2階までしか登れなかった年もあれば、2階まで登りきれた年もあるかと思います。

それに対してコンフォートゾーンを上げることはどういう行為かといいますと、これはいきなりエレベーターに乗る事を意味します。強豪校との練習によりコンフォートゾーンが上がった場合、例えばいきなり5階からスタートすることができます。そしてそこからの緩くて長い階段を、熱量を上げながら日々登っていくという事になるのです。

その強豪校のコンフォートゾーンがエレベーターでいう10階の高さであったとしたら、やはり5階に到達したレベルではまだ及びません。しかしそれでも従来1階からスタートしていた事を思えば実力は段違いにレベルアップしています。10階レベルの強豪校との数回の練習によって、1階であったスタートが5階にまで引き上げられたのです。いかがでしょう?見学や合同練習により、休日の1日のパート練習をつぶしたとしても、余りある成果が得られると思いませんか?