コミュニケーションのスタートとして個人面談を取り上げました。いかがでしょう?皆様のバンドでは指導者の先生と生徒さんの個人面談って実施されてますでしょうか?私の少ないキャリアの中では中学、高校共にその経験はありませんでした。現在はどうなのでしょうか?実施するのが一般的なのか、しないのが一般的なのかはわかりません。もっとも、この点については前回同様先生と生徒という学校独特の関係がありますので「した方が(しない方が)よい」などという提言は今の私には出来ません。しかしビジネスマン育成に携わった前職ではこの個人面談はとても大事な機会と捉えておりました。というわけでその背景と実施の方法やその効果をご紹介しますので「よし、これは試してみよう!」という方は実践して頂ければ嬉しいです。又生徒さんでお読みになっている方がいらっしゃればご自身のパートの下級生との面談という風に置き換えて頂ければそこでも応用は可能です。
まず本書では触れていますが簡単に私の前職の背景をご説明します。外資系の生命保険会社で全員が他業種で成功しているセールスマンの集合体。100%ヘッドハンティングでの他業種からの転職組で構成されています。給与体系はフルコミッション(完全歩合制)。なんと所長の私の給料もフルコミッション(営業所メンバーの売り上げですべてが決まります!)。こういった報酬体系ですからこの会社には「ノルマ」という概念がありません。メンバー一人一人が「今年度この年収にしたい」という数字が目標値になります。私の営業所はメンバーが13人いましたので。その13人の目標数字の合計が営業所の目標になります。これが支社に積み上がり…といった具合です。
ところが一般的な営業会社(ほとんどの会社)はベクトルが正反対です。つまり会社としての今年度の数字目標があり、それが支社に振り分けられ、それが営業所に、そして営業マン個人にブレイクダウンされて個人の目標数字が決まります。そしてその目標は「ノルマ」という言葉に変換され、営業マンにのしかかってくるのです。これを私は「やらされ目標」と呼んでいます。自分の意思や願望は関係なく会社や上司に要求される目標という事です。更には高いノルマを達成した営業マンには次の年更に高い目標が設定されます。こうして達成しても達成しても年々ノルマが高くなり、最終的には営業マンが疲弊してくるケースがとても多く見受けられます。
そういった意味では前職の目標は個人の願望やモチベーションという意味では全く理にかなっており、わざわざ面談等行う必要は無いように一見感じます。
ところが、これが大ありなのです! 確かに個人の願望が目標になっている事には違いないのですが、その中には「これだけ稼げたらいいな~」という「出来たらいいな目標」であったり「支社の仲間の手前この位の目標でないと恥ずかしいし、何か言われそう」という思いから来る「(他人の手前)やらなければならない目標」が出てくることが実はとても多いのです。折角高い目標を立てても、頭の中では「達成したいから頑張る!」と思っているのですが心の潜在意識では「自分には現状のレベルがふさわしい」と思ってしまっているので、その目標が達成することはほとんどありません。結果「頑張ります!」という言葉と裏腹に目標は未達成になります。
別にその方は嘘をついているわけではありません。本当に頭では達成したいと思っているのです。ところが動きは現状のレベルの行動をします。このギャップを本人に気付かせ行動に落としこむ手伝いをする為に面談をするのです。背景でほとんど終わってしまいました。次回は改めて面談の目的とその進め方等に移ります!