おはようございます。前回自分の人生や仕事についての思考停止に触れました。前職での商談で実際にあったやり取りから、いかに人は簡単に思考停止状態に陥っているかを理解して頂くために本日はそのやり取りの実例をご紹介しますね。今回も音楽から少し離れますことご容赦ください。

前職の私の仕事はサラリーマンをヘッドハンティングすること、そして採用した人材を一流の保険セールスマンに育成すること。この2点でした。報酬体系はフルコミッション(完全歩合制)ですので、リスクは当然ありますが青天井で稼ぐことができる仕事でもあります。この辺りを固定給のサラリーマンとの面談で訴えて興味を持ってもらうといった仕事でありました。そんな中である会社に勤める30歳のサラリーマンとの初面談でのやり取りをご紹介します。ちなみにそのサラリーマンは営業でその会社の若手ナンバーワンの切れ者というご紹介でお会いした方です。彼の販売実績はその評判通りピカ一でした。以下やりとりです。

私:30歳で会社8年目なんですね。2歳のお子様がお1人という事ですがお子様は最終的に何人くらいのご予定なんですか?

相手:本来は2~3人欲しいんですが、僕の収入だと1人が限界かなと。

私:失礼ですが今ご年収はおいくらなんですか?

相手:400万円です。

私:なるほど。では年収がいくらであれば2人目が実現するのですか?

相手:・・・・?さあ、あまり細かくは試算してはいないですね…

私:試算もしていないのに諦めちゃってるんですか?

相手:子供が1人の今でも余裕がないので、さすがに2人目は厳しいことはわかります。

私:では感覚値で構いません。あといくら年収があったら2人目も大丈夫ですか?

相手:・・・?あと200万円ぐらいプラスになれば行けると思います。

私:なるほど、では早急に今より200万円年収を上げなければいけませんね。

相手:正直今の会社では無理です。

私:何故ですか?同期でハードワークしてその位稼いでいる人はいませんか?

相手:いません。給与の制度の問題なので。あと20年くらいしないと今より200万円は上がりません。

私:○○さん位の抜群の実績だったら会社に交渉して給料上げてもらえばいいじゃないですか?

相手:(苦笑)さすがにそれは無理ですよ。

私:どうして無理なんですか?交渉してみた事ありますか?

相手:した事はありません。でも就業規則で決まってしまってますから。

私:どんな規則もある程度の例外を認められる様に隙間を作ってありますよ。

相手:そうなんですか?詳しく読んだことないのでよくわかりません。

私:(・・・・)では、もう一つ仕事をかけ持つのは時間的に不可能ですか?

相手:・・・!?不可能かどうかはわかりませんが会社で副業は禁止されているので無理です

私:それであれば株や債券、不動産とかの収益であれば規定には引っ掛からないでしょう?そのあたりはどうですか?

相手:規定には引っ掛かりませんが投資はリスクもあるし資金も余りないのでやろうとは思いません。

私:リスクとおっしゃいましたが、その分野のどういった勉強をされたのですか?

相手:勉強は特にしてません。

私:(・・・・)そうですか。それであれば今の仕事より200万年収が上がる仕事に転職するしか方法はないですよね?今まで転職は考えませんでしたか?

相手:考えましたが、仕事がなかなか忙しくて動けてません。

私:行動には移せてないわけですね?では考えたとおっしゃいましたがこの8年間でトータルで何時間この件について考える時間を持ったと思いますか?

相手:・・・さあ、どうですかね?そういわれると日々の仕事に忙殺されてあまり考えていないのかもしれませんね。

私:そもそも、就職活動でなぜ今の会社に決めようと思ったんですか?

相手:人事部の人の雰囲気が凄く良かったので自分に合っている社風かなと思ったので。

私:(深いため息とともに)そうですか、是非その社風を味方にこれからも頑張ってくださいね!

以上になります。これは実際のやり取りの抜粋です。彼は仕事の内容の話になると切れ者の評判の通り考えを巡らせアイデアを随所に発揮する仕事ぶりを披露してくれました。しかし上記の様に「人生の話」になると全く考えていない事がお分かりになると思います。「何のためにこの仕事をしているのか?この仕事を通じて自分はどうなりたいのか?自分の人生をどうしていきたいのか?」こんな発想が前提の思考は8年間でほぼなかったという事です。そして子供も経済的な理由で1人と決めつけています。最終的には授かりものですから2人が実現するかどうかはわかりません。しかしほかの選択肢について考える事もほぼなく、現状の年収だけをみて諦めているという完全な思考停止状態になっています。年収アップでお子様の二人目が実現するのであれば「何とか手段を工夫して年収を上げましょう!」というスタンスの私に対し「自分には無理。規則だから無理。でもあまり深く考えてません」というスタンスの会話相手のコントラストをお感じ頂けたのではないかと思います。なぜ最も自身にとって大事な「自分と家族の人生」というレベルで仕事の内容のようなアイデアを発揮する考えに至らないのか?当時とても残念に思った記憶があります。とても長くなってしまいました。どうお感じになりましたか?皆様はどちらのスタンスでしたでしょうか?