前回は成長の4ステップをご紹介し、あるテーマに関して生徒さんは全員この4つのステップのいずれかのフェーズに属する旨の説明をしました。そしてフェーズごとに課題とゴールは違うのでまずは一人一人がどのフェーズに属するかを見極める事が必要であると申し上げました。

 さて、それではどのようにしたら見極めることが出来るのでしょうか?拙著でも触れていますがまずは生徒さん自身に訊いてみる方法はあります。しかしこれが全くあてにならないのです(笑)。試しに部全体で苦戦している何かのテーマに対し、自分はどのフェーズにいるか全員にアンケートを取ってみて下さい。フェーズ2と答える生徒さんが多いはずです。フェーズ3もある一定割合でいるとは思いますが、いずれにしてもフェーズ1と答える比率は少ないと思います。

 これはどういう現象かと言いますと、多くの生徒さん達は「正解は分かっているし、意識はしているんだけど、中々その通りに演奏できない」と思っているという事です。だから「もっとたくさん練習をしないといけない!」と頑張ったり「どうして自分は出来ないんだろう?」と悩んだりする訳なのですが、実際にはほとんどの生徒さんはフェーズ1に属します。これはどういうことかと申しますと「頑張ったり悩んだりする前にするべき事がある」ということなのです。

 しかし実際に「あなたはフェーズ1ですよ」と指摘されると意外に思う生徒さんは多いと思います。「意識はしてます!」と反論もあるかもしれません。確かに意識はしているのでしょうが、その意識している「これが正解」と思っているその正解が本来のものとズレているか、又はぼやけている場合がほとんどなのです。

 具体的な例の方が判り易いでしょうか?例えばB♭durのスケールを正確な音程で吹きましょう!というテーマがあったとします。これに対し「あなた自身はどのフェーズにいますか?」と質問した場合、音程が正確でないと自覚している生徒さんの多くは「フェーズ2」と答えると思います。しかしその生徒さん達は「そもそも正確なB♭durの音程をきちんと理解・イメージ出来て」いますでしょうか?これはとても大事な問題になります。

 私自身の体験も含め明日以降この辺りを解説していきます。