おはようございます。昨日は全体の目標が個人にどう映っているか?の確認の話をしました。そして一定割合でネガティブな意見が出る旨もお話ししました。今日は「ネガティブな意見を歓迎する」という事についてご説明いたします。

セールスシーンの話になってしまいますがお付き合い下さい。セールスの終盤でいよいよ契約のサインかという時に、お客様が躊躇して「今日は決められない」と反対されるシーンが場合によって出てきます。この時に最も重要になってくるのは「本当の理由を探る」というアクションを起こすことです。しかしお客様がこの時に反対、もしくは迷っている本当の理由を言ってくれるか否かは、それまでの自分自身とその商談の信頼の積み重ねの高さによります(当然お客様の性格にもよりますが)。ある程度信頼関係が出来ていれば「実は...」と言ってその本当の理由を言ってくれます。そしてこの場合はその理由の部分の問題に一緒に取り組み、それが解決されればサインをしてくれるという事になるのです。

しかし多くの場合お客様は本当の理由を言ってくれません。特にセールスマンに対してあまり心を開いていない場合等はほとんどの場合「本当の理由」ではなく「断りやすい理由」で反対します。「他社でも検討しているから」とか「今は仕事が忙しくて落ち着いて考えられないから」とか...この際多くのセールスマンはいきなり慌ててその表面上のウソの理由に対して議論を始めます。「どこの会社で検討してるんですか?」とか「平日が忙しかったら土日はいかがですか?」等々...元々本当の理由ではないので架空の議論を重ねれば重ねる程お客様は嫌気がさしてきます。まあこうなったら完全にセールスは終了です。失敗ですね。

それでは確かに商談の質や自分自身の信頼などの要因もあるとは言え、どうしてこのような現象になってしまうのでしょうか? それは数回の商談の機会があったにもかかわらずお客様の本音に触れる機会を避けてきたことに原因があります。そしてそれは「本音をぶっちゃけられたらその場で商談が終了してしまうかもしれない!」というセールスマンの無意識レベルでの恐怖感からくるものです。ですからお客様が反対しないストーリーを作りそれに則ってセールスプロセスを進めます。お客様も反対するシーンもなく、又出来れば「断る」という労力が要る作業を避けるために、セールスマンの話しに「なるほど」といいつつ流れに乗ります。しかし「いざサイン」となった瞬間に「ここで断らないとサインさせられてしまう!」と思い初めて適当な理由を付けて反対してくるのです。

このお客様の心情を理解出来ていない多くのセールスマンは「いい感じでプロセスは進んだのに何故最後の最後で断られたんだろう?」と初めて疑問に思うのです。 しかし時すでに遅しです。お客様の本音に触れる事を避け、表面上のセールストークで何とか契約までもっていこうと思ったのかもしれませんが、結果的に時間と商談回数のムダを重ねただけという事になります。

【アンチクライマックス法】というセールススキルがあります。これは上記のような事を避けるために敢えて初回の面談の冒頭で「聞きにくい事」、「言いにくい事」をぶっちゃけで聞いてしまうという方法です。これはこれで初対面のシーンですから使い方には工夫が必要ですが、ここが成功するとセールスマンもお客様も胸の中にしまっているものを出した上で商談が進みますのである意味安心して臨むことが出来ます。そして最後の最後で反対が来るという事は少なくなるのです。

さて、セールスシーンをまとめるとセールスマンが「顧客の本音に触れる恐怖」から逃げた為結局最後の最後に反対され、本当の理由は分からずじまい。という失敗シーンのご紹介でした。実は目標設定に対しての本音の話しも同様なのです。具体的には明日ご説明します。