楽譜の読み方に慣れてきたらいよいよ練習に活かしていきたいところですが、いきなりスコアを開いても特に初めての方は「どこをどう見ればいいのか??」といった感じだと思います。中、小編成の楽曲でも恐らくスコアにすると20段は超えるでしょう。確かに各パートの楽譜が並んでいる訳で書かれていることはわかるんだけど、実際「これをどう使うかがわからない」といった感じではないでしょうか?

私自身高校1年生で学生指揮に選出され、訳も分からず指揮台に立ちスコア見ながら指揮をしてみましたが、ただスコアを追っているだけ。聞こえてくる目の前の演奏でちょっとおかしいところがあると注意して又もう一回。という全く非効率な練習をしていました。非効率というよりは「目的が無い練習」とでもいう感じです。週末にいらっしゃるプロの講師の先生の合奏を真剣に聴いて学ぼうとするのですが、「何故その箇所、その楽器を抽出して注意・修正するのか」が判りませんでした。確かに指摘を受けたパートだけ演奏すると出来ておらず、修正後の合奏はきれいになっているのですが、指摘する背景が全く理解できていませんでした。

当り前ではありますが、今にして思えば私と先生の差は歴然としており、やっていることは表面上は似ていてもその本質は次元が違うという事なのです。つまり私は感覚で、或いは何となくおかしいところを指摘する練習ですが、先生は予めスコアリーディングをしておりその練習箇所の「あるべき響き」を理解した上で指揮をし、そしてそのあるべき響きと違う個所について原因を探り修正していくという違いです。このステップを踏めば「理想と現実の差」を把握できますからその楽曲の仕上がりに対して「目標」が出来ます。それを本番までの時間に分解し仕上げていくのです。一方私の練習はその効果の再現性が無く、目標も曖昧で本番に向けて常に気合と根性を強いる練習だったと思います。よくぞ当時の部員はついてきてくれたと心の底から思います(笑)。

こう言った自己の反省からも合奏に臨む前の予めの準備が必要だと強く感じています。準備の大半は「スコアリーディング」という事だと思いますが、これはプロの指揮者も必ず行う事であり私のような素人には語れないことがほとんどだと思います。しかし簡単なさわりの部分を理解し準備するだけで格段の効果が得られると思いますので、次回その辺りをご紹介したいと思います。