前回の内容で「まずはソロの簡単な楽譜にトライしましょう」と申し上げました。小中学校でリコーダーなど経験していれば1声の楽譜を追うことはそんなに難しくないかとは思います。「この位は出来るよ!」という方には次のステップでお勧めしたいのがピアノ曲の楽譜です。これは「大譜表」と呼ばれ2段の楽譜(右手と左手)になっています。2段だけですので難しくはないと思いますし、この大譜表に慣れておくことは後々のスコアリーディングに大きな影響を与えますので、「譜読みに慣れたい」という方はまずこのピアノソロ曲がお勧めです。家にあるCDの中からお気に入りの曲を選びその曲の楽譜をご近所の楽器屋さんや本屋さんなどで購入するだけです。全音ですと1曲づつ販売していますので数百円で購入できます。

進め方は前回同様になりますが鼻歌を歌うのは難しいでしょうから、そこは割愛でも大丈夫です(笑)。まずはお気に入りの旋律を聴きながらその音符を指で追っていきます。例外はありますがほとんどがその旋律は上段(高音)部分になると思います。そちらを追いながら最後まで到達できることを確認したら、今度は左手の低音部分である下段の楽譜に注目します。そしてまたCDを聴きながら今度は下段の音符を指で追っていきます。そうすると今まで主旋律の陰に隠れていた新しい響きが耳に入ってくるようになります。そうです「聴力」の意識が覚醒してくるのです。この作業をすると今まで「伴奏の上に流れている主旋律」といったボヤっとした聴き方であったことに対して「実は何てたくさんの音が組み合わさってこの曲は構成されているんだろう!」という驚きに変わります。

とにかくたくさんの気づきがありますのでトライしてみて下さい。例えばショパンのエチュード「別れ」の最初の有名なあのメロディーは楽譜を見るとイメージの違いにびっくりされると思います。「ごみごみした8分音符や16分音符しかないけどあのメロディーはどこだ?」みたいな感じでしょうか?バッハのフーガなどは高音部と低音部でどんどん主旋律が入れ替わり「一体どうしたらこんな曲作れるんだ??」というような驚きと才能への賞賛が出てくるでしょう。これらも「ぼーっと聴いているだけの人」にはわからない楽譜を読んだからこその驚きと発見です。

少しの回数と慣れは必要ですがこの辺りまでくるともう楽譜を読み込むことに対するハードル意識というよりはその「楽しさ」の方が勝ってくると思います。作品の深みを知り「楽譜を読むことが楽しくなってくる」事をこの回のゴールにしたいですね!