前回は認知の限界についてご説明しましたが、少しわかりにくかったでしょうか?まとめますと下記の2点によって引き起こされています。

1:自分の与えている影響は認知しにくい(自分が思っている以上に現実は相手に影響を与えてしまっているということ)

2:セルフイメージによってリーダーは自分自身を「普通の(たいしたことない)存在」と認識しているが、相手(生徒)はリーダーの事を「大きな(畏れの)存在」と感じている。この差を理解していない。

さて、このテーマの冒頭からの説明の通りネガティブな事象の例としてご紹介してきましたが、私はこの2点を理解し応用することにより圧倒的なポジティブな力に変換できると信じています。

まずは上記2番のセルフイメージですが、「自分自身は目の前の相手(生徒)にとっては大きな存在である」事を受け入れ・そして理解する事です。これは簡単なようですが慣れ(訓練)が必要です。なぜならば永年培ってきた「謙遜の美徳」との戦いであるからです。「自分なんてまだまだ。未熟者。発展途上。」といった風に思っていた方が居心地が良くなってしまっています。しかし少なくとも「目の前の相手にとっては自分という存在は大きな存在なんだ」という事実を決して間引かずに【現実をそのまま】しっかり受け止め咀嚼することが必要です。

ここがキッチリと理解できれば1番の実行は難しくないと思います。なぜか?ここさえ理解できれば、自分という【相手にとって大きい存在】がその相手に「期待を告げる」。この事の与える影響は、それこそ自分自身が感じるよりはるかに強大で、ひょっとしたら今後の人生も変えてしまう位の力を持って相手のモチベーションを揺り動かす。という事実に気が付くからです。この事実にさえ気付き理解できたのなら、そんな大事なステップを忘れるはずがなくなるからです。

よくTVや雑誌などでアスリートや各界の有名人が「学生時代のあの恩師の一言で人生が変わった」と述懐するようなエピソードが紹介されていますが、そのエピソードのほとんどは「お前ならできる」とか「日本を背負って立つ存在になれ」といったいわゆる【期待を告げる】内容であることが判ります。そしてこれは勝手な私の憶測ですが、発言した当時の恩師はまさかその一言が相手のその後の人生にそこまで影響を与えるとは思っていなかったのではないでしょうか?もしそうだとしたらこれこそポジティブ版の認知の限界そのものということです。

いかがでしょうか?圧倒的なポジティブな力と申し上げた意味がご理解頂けましたでしょうか?仮にですが、上記の恩師の例でその恩師は指導相手との普段の付き合いの中で【自然に、感覚的に】その一言が出てきたとしたら、それはほかの生徒さん等への再現性はありません。しかし「自分という存在が相手の状況や可能性を真摯に理解した上で、期待を告げる事の力」を理解していれば、指導相手の生徒さん全員にこの素晴らしい贈り物を届けることが出来るのです。

では、どのように期待を持つのか、又は告げるのかというパートに次回以降入っていきたいと思ます。